マレーシア人研究者への技術支援

9月上旬、本プロジェクト代表の市村英彦先生はマレーシアのマラヤ大学を訪れ、数日間にわたって本プロジェクトで今まで得られた計量経済学や人口調査の設計及び実施に関する成果や経験を伝えました。
9月6日、マラヤ大学の経済学・行政学部にて、地元の計量経済学者を相手に、セミパラメトリック推定法の方法論的問題の解決方法に関する発表を行いました。
さらに、その翌日、日本及びほかの先進国が共有する少子高齢化社会における経済的、社会的問題や、「くらしと健康に関する調査」(JSTAR) の設計と開発、及び本プロジェクトの研究者がJSTARデータを利用して挙げた最近の成果について報告をしました。その際、市村先生はJSTARのような調査が人口的異質性の把握や政策評価に極めて役立つものだと指摘しました。
本プロジェクトでは最近JSTARのデータを活かして、日本の高齢者の労働市場参加や健康、栄養摂取、及び高齢者による贈与と賦課方式の年金制度への影響について研究を行っており、そうした研究は、施策企画者に労働力不足や公的年金と医療に関する支出の増大といった高齢化の悪影響を緩衝する上で重要なフィード バックを提供しています。
クアラルンプールでの滞在中に市村先生はJSTAR調査での開発と実施に関する自らの経験に基づき、「マレーシアの老いと退職に関する調査」(MARS) の調査票の内容を分析し、その改善のための助言も提供しました。

 

高齢化社会やJSTARに関する講義。2017年9月7日、マラヤ大学社会保障研究センターにて。