『日経新聞』に小川先生のインタビューが掲載

6月15日付けの『日経経済新聞』には本プロジェクトの小川直宏特任教授とNPO法人理事長のインタビューが掲載されました。
「少子化の罠、日本は抜け出せるか?」と題する記事の中で、出生率が日本で最近2年連続で低下していることについて、小川先生は減少の幅が極めて小さく、2005年を境に始まった出生率回復の動向が基本的に変わっていないとコメントをしています。
ある国の出生率が一度1.5を割ったら、二度と回復することはないという、「少子化の罠」に関する定説は最近疑問視されることになりました。その主な理由は、ドイツで出生率が90年代の低値1.25から昨年の1.59まで回復したことにあります。
ドイツでは出生率の上昇に移民など、外国人女性による出産の増加とジェンダーに関する意識の変化が大きく寄与しているが、日本では近年の出生率の緩やかな上昇の背景には、2003年に成立した、育児休業をより充実したものにした法律があります。小川先生によりますと、日本の出生率が再び1.5のレベルを超えるようにするには少子化に対して強い危機感を持ち、「男は仕事、女は家庭」という伝統的な性別役割分担の意識(ジェンダー意識)を変える必要があるということです。ジェンダーに関する意識が少子化と相関関係を持っているということは世界の人口学者の共通認識ですが、東アジアでは伝統的な性別役割分担に関する意識がいまだに根強いため、そういう意識の見直しが欠かせないということです。
また、人手不足が深刻化している日本では女性に働いてもらわないと企業や組織の経営が成り立たないという状況が生じていますが、旧態依然の対策では少子化の罠は容易に抜け出すことは出来ないため、仕事と子育ての両立が可能な環境の整備には国と企業のさらなる検討や努力が必要です。(石塚由紀夫「少子化の罠、日本は抜け出せるか?」、『日本経済新聞』、夕刊、6月15日【金】、6面)