プロジェクトの社会への貢献(兵庫県)

2017年7月8日付神戸新聞に本プロジェクトの分担研究者による日本の高齢者の潜在的労働力に関する研究の成果についての記事が掲載されました。「潜在的 労働力、推計51.6万人」と題された記事は本プロジェクト分担研究者である日本大学 松倉力也助教が同志社大学 阿部茂行教授と合同で行った研究成果をまとめたものです。(PDFファイルを参照)

当研究は方法論的に国民移転勘定を使い、「暮らしと健康の調査」(JSTAR)によって収集されたデータを利用しています。松倉助教は上記の手法やデータを用いて兵庫県の60歳から79歳の高齢者の潜在的労働力を推計しました。 JSTAR の高齢者の健康状態に関するデータに基づいて行ったその推計によると、兵庫県のその年齢層の全人口142万人のうち51.6万人が就業していないが働ける健康状態にあるということです。この数は兵庫県の労働人口の2割に近い数値となり、就業していないこれらの健康な高齢者の潜在的労働力を部分的にでも利用することができれば、少子高齢化によって引き起こされた労働力不足を軽減することが可能となります。 また、松倉先生の計算によれば、これらの健康な高齢者全員が労働市場に参加することができれば、労働所得の合計は8,800億円にも上るということです。

阿部教授は7日、神戸で開催されたひょうご震災記念21世紀研究機関の主催シンポジウムで上記の松倉助教との共同研究の成果を発表しました。 阿部先生はその際に、高齢者の潜在的労働力の利用が重要な課題であり、定年退職年齢を70歳に上げるべきだなどと述べました。

松倉先生と阿部先生の合同研究は、本プロジェクトの松倉先生と清水谷先生、及び特任教授小川先生が他の共著者と国際専門誌において発表した研究を更に発展させたものです。(Matsukura, R., S.Shimizutani, N. Mitsuyama, S-H. Lee and N. Ogawa, "Untapped Work Capacity among Old Persons and their Potential Contributions to the 'Silver Dividend' in Japan", Journal of the Economics of Ageing 参照)

神戸新聞の記事はこちら。

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