日本における育児休業の出生率への影響に関する発表

2016年12月8日、本プロジェクト専任教授の小川先生は、ホノルルで行われた国際会議 "Low Fertility, Labor Market and Family: Factors, Outcomes and Policy Implications"に参加し、近年の日本政府の育児休業に関する政策の効果や日本の企業における育児休業をめぐる動向について発表を行いました。同会議は低出生率・労働市場・家族をテーマとし、韓国保険社会問題研究所(KIHASA)とハワイの東西センター(EWC)との共同開催によるものです。
当発表では、戦後の日本における出生率の変動や過去の育児休業に関する政府政策を紹介した上で、小川先生と本プロジェクト研究員である松倉先生、及び東西センターの李先生が共同で行った常勤・非常勤の既婚日本人女性の所得プロフィールに関する推計結果が報告されました。この推計は「仕事と家族に関する全国調査」の2007年と2010年の回で集計されたデータに基づいたものです。
育児休業取得による所得と出生率への影響を突き止めようとする3人の先生方の研究結果では、常勤の既婚女性の育児休業取得が進むにつれゼロ子から第一子へ、第一子から第二子へのパリティ拡大率が高まる効果が示される一方、非常勤既婚女性ではそのような効果がほとんど見られないことが示されています。小川先生によるとその研究結果は、2005年以降の日本の出生率の緩やかな回復が(主に大企業で働く)常勤既婚女性の育児休業制度利用の上昇と関係があることを示唆しているということです。