マレーシアでNTAに関する研修を実施

本プロジェクトの小川直宏先生は2月12日から19日までマレーシアのマラヤ大学(Universiti Malaya)にて国民移転勘定(NTA)に関する研修を実施しました。その期間中に小川先生は三つの講義を行いました。
2月13日の講義 "Rapid Population Aging, Changing Intergenerational Transfers and Increasing Demand for Lifecycle Wealth in Japan" では、NTAの方法論的枠組みをもとに日本における私的・公的世代間移転の推移パターンについて発表し、日本における動向をアジア諸国のそれと比較しました。当講義では人口の構造変化によって生じる人口の配当(人口ボーナス)も取り上げました。
2月14日の講義 "Population Aging and Its Impacts on Intergenerational Transfers in Japan and Selected Asian Countries” では、日本の高齢者の経済的状況に注目しつつ、日本のNTA指標を活かした公的移転、私的移転、及び資産の配分に関する分析の結果を発表しました。当講義で小川先生は、多くの資本を蓄積してきた日本の高齢者が、人口高齢化による経済問題の緩和という点で潜在的に果たせるであろう役割について論じており、高齢者が将来その役割を十分果たせるようにするのに高齢者に資産管理や財政に関する教育を施す必要があることを強調しました。
2月17日の講義 "The Impact of Rapid Population Aging upon Economic Growth, Labor Supply, and Intergenerational Transfers in Japan and Selected Asian Countries” では、日本のNTA計算結果を利用しながら日本国内における人口高齢化の公的・私的移転や第一・第二人口配当の成立に対する影響を分析し、それをほかのアジア諸国の同様な計算結果と比較しました。当講義は日本の高齢者の就業余力やいわゆる「シルバー配当」の形成への貢献の可能性にも触れました。