日本やアジア諸国における世代移転の変化パターンに関する発表

 Changing Intra-familial Income Transfers, Family Organization and Norms regarding Filial Care for the Elderly in Japan and Selected Asian Countries 

本プロジェクト特任教授小川直弘先生は9月7日にベトナムの首都ハノイで、わが国のNTA推計結果に基づき、わが国の19842009年における世代間移転の変化パターンについて上記タイトルで発表しました。それによると、高齢者1人当たりの公的移転量はこの分析期間で大幅に増加しましたが、逆に私的移転は減少しました。特に、20042009年の期間では65歳以上の高齢者への私的移転量はネットでマイナスとなりましたが、これはサブプライム・ローンやリーマンショックによる経済不安が子供世代で起こり、高齢の親世代が子供世代を支援したことによると考えられます。

さらに、1980年代の半ば以降の社会保障制度の抜本的な見直しの結果、高齢の親世代への介護に対する価値観や意識が急激に弱体化しました。

報告の最後に、小川先生は日本のこの様な高齢者をめぐる様々な時系列変化をアジアの国々のNTAの計算結果と比較し、韓国は日本とかなり似通った変化が進みつつあることが観察されました。