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「少子高齢化社会における仕事・出生・家族に関する全国調査」

 本研究での主要なもう1つのデータベースが「少子高齢化社会における仕事・出生・家族に関する全国調査」である。その母体は「仕事と家族に関する全国調査」(NSWF)である。NSWFは、毎日新聞社人口問題調査会が1950年から2000年までに50歳未満の女性を対象としてほぼ隔年で25回行った「全国家族計画世論調査」に続いて、2004年の「第1回人口・家族・世代世論調査」、そして日本大学人口研究所がWHOと共同で行った横断調査である。世界でも例のない長期間にわたり同じサンプリングフレームワークでほぼ同じ質問票をベースとした調査で、世界の人口問題解決に対する貢献が評価され調査会は1993年に国連人口賞を受賞している。このデータは、60年にわたる女性の労働、結婚、家族、育児、介護に関して、経年的な意識などの変化をミクロデータ分析で捉えることが可能であるわが国唯一のものである。

   NSWFを用いた実証研究は数多く行われており、その内容は女性労働参加、出生、介護、結婚などの多岐にわたる。研究結果はHodge and Ogawa (1991)の他、国際的な雑誌で発表されている。最近ではファイナンシャル教育のレベルと将来の資産形成におけるインパクトなどの研究成果(Clark, Matsukura, and Ogawa (2013))を発表し、近年の出生率低下について、小川がWHO、国際人口学会と共同でまとめた書籍がSpringerから2014年に出版された。

 本プロジェクトは、さらにより正確で効果的な政策評価や政策提言を可能にするためにNSWFの調査票を改善し、大幅に修正されため、調査名を「少子高齢化社会における仕事・出生・家族に関する」に変更した。